『歯と歯茎の痛み ③』

 こんにちは。大阪市生野区の歯医者 有田歯科医院 院長の有田です。

 前回、前々回のこのブログでは、『ムシ歯』が原因で引き起こされる痛みについてお話させて戴きました。歯の痛みは、時には耐えられませんものね。さて、今回は、歯周病による歯茎の急性症状についてです。

 歯周病は、普段は気づかぬうちに静かに進行し、ある条件(歯周ポケット内の細菌群同士の拮抗バランスが崩れた場合等)が、まるでスロットマシンで組み合わせがそろった様な時に、グンっと進行します。そして、ある時、何かが引き金ね(多くの場合、疲労や飲酒、寝不足やストレス等で抵抗力が急激に下がった時)になって急性症状を引き起こし、歯茎が腫れてしまいます。

 前回、歯の神経が壊死(えし。死んでしまったしまった状態。)に陥った場合に、歯茎が腫れて、激烈な痛みに襲われる事が有ると書かせて戴きましたが、同じ様に、歯周病の急性症状も炎症が歯茎だけに止まらず、リンパ腺にまで拡がり、顎全体が腫れる場合が有ります。

 「先生、この右下の奥の歯茎、前から腫れたり退いたりしてたんやけど、いつもそのうち治ってたんやわ。せやのに、今回は、顎の下まで腫れてしもて、口も開けられへん。熱も持ってるわ。何とかして下さい❣」

 早速、レントゲンを撮影して、歯を支える骨(歯槽骨:しそうこつ)の状態を読影しますと、歯の根の周りの骨がほとんど吸収されています。歯茎は、骨の裏打ちを失くしたまま、歯を取り巻くだけで、歯と歯茎の間の溝(歯周ポケット)の深さは、10㎜以上❣(正常なら1~3㎜)。その10㎜の歯周ポケット内は、歯周病菌にとってはパラダイス❣ 思う存分毒素を排出し、更に歯槽骨を吸収していきます。しかし、身体も負けてはいません。防衛軍である免疫機能が、歯周病菌に反撃します。頑張れ、白血球❣ 戦場となっている歯周ポケット内では、白血球や細菌の死骸だらけで、それらは『膿み』となって対外に排出されようとします。が❣、歯周ポケットは深く、出口も狭く、急激に増加した膿みを排出しきれません。結果、膿みは歯茎の中に溜まっていき、歯茎をパンパンに腫らせていきます。歯茎を切開し、抗生物質を投薬します。中には、この状態になっても仕事などの都合で、まだ歯科医院に行けず、遂には『蜂窩織炎(ほうかしきえん)』と呼ばれる、顎顔面から全身に炎症が波及する非常に危険な状態にまで進行する場合が有ります。

 前々回から、歯や歯茎の痛みの代表的なものについて述べさせて戴きました。昨今では、歯の健康についての啓蒙も広まっており、それらの様な急性症状を主訴とした患者様の数は減少していますが、でもやはり、歯科医院に行くのに二の足を踏んでしまう方も多いのも事実だと思います。どうか、少しでも、何か異常を感じたら、早めに歯科医院を訪れて下さい❣ 『まあ、ええかぁ。大人しくしてたら、治るやろ。』は、歯科では有りません❣

 もちろん、何ら異常が無くても、定期的な検診とクリーニングに出向かれる事が、ご自身の歯とお口の健康を守って戴く最も良い方法である事は言うまでも有りません。どうか、長いお付き合いのできる、かかりつけの歯科医院をお持ち下さいね。

 当院も、その様な歯科医院であり続けたいと願い、様々な事に取り組んでおります。

         あなたのステキな笑顔をいつまでも❣