「あぁ、前も治療した歯ぁやのに、またムシ歯やって言われたわ。歯症が悪いんかなあ?」。歯科医院で、そのような経験をされた事は、ございませんか?
私共は、時には、患者様にムシ歯の再治療の必要性を説明せねばならない時が有ります。その様な時、ほとんどの患者様が上記の様な反応示され、時には、「痛い事もないのに、何でまた歯ぁを削らんとあかんの?」と、疑問に思われる事もしばしばです。
その事を指摘する事がいくら患者様のためであっても、患者様が抱いた『疑問』は、下手をすれば私共に対する『不信』につながる可能性も有るため、歯の状態を丁寧に説明して患者様に『納得』していただく事を心掛ける必要が有ります。私共の医院では、拡大鏡で直接お口の中の状態を一緒に見て戴いたり、その患者様のお口の中の写真をモニターに映し出して見て戴きながら説明しております。
「ああ、ほんまやぁ。黒くなってるわぁ」。
人間は、『視覚』で確認する事で最も納得がいきますものね。
さて、ではなぜ虫歯の治療をした所から、また虫歯が再発するのでしょう?
先ず、元々の虫歯にも何にもなっていない歯(神様が作って下さった歯❣)には、何の詰め物も有りませんよね。それがムシ歯になってしまったので、仕方なく、歯科医師がムシ歯部分を削る事でムシ歯を取り除きます。皆さんの大っ嫌いなあのドリル❣❣❣でガリガリするわけです。次に、詰め物やかぶせ物が外れにくい様な形に削り穴の形を整え、その穴に直接詰めたり、型を採って、詰め物やかぶせ物を作製します。
もちろん、それらは生体にとっては『異物』であり、『神様が作って下さった歯』に比べれば、いろんな意味で劣ります。
ちなみに、ルネッサンス時代のイタリアで、彫刻家や金細工師が、歯を削った穴に金の詰め物をする技術を習得していたんですって。先達の歯科医師たちの努力の積み重ねにより、現在の歯科治療の科学技術の進歩はめまぐるしく、『異物』ながらも生態との親和性や硬度、強度、精度ともに大きく進歩しています。それでも、さすがに『神様が作って下さった歯』には、追いつきません(涙)。
誤解を恐れずに述べますと、歯を削るというマイナス面を詰め物やかぶせ物で修復する事で、プラスにならないと意味が無いわけですよね。その詰め物等をした歯が、少しでも『神様が作って下さった歯』に近づき、維持できる様にしたいのです。その為に、その方に合った最も適した治療方法、材料は何か?を考え、患者様方に『説明して提示する義務』が私共には有り、定期的なチェックでクリーニングや噛み合わせの調整、そしてご家庭での日頃のお手入れ方法のご指導を継続的に行い、何とか、『神様が作って下さった歯』に近い状態を維持できる様に働きかける責任が有ると考えております。残念ながら、そういう地道な予防管理を継続的に続けていかないと、やはり『2次カリエス』になる確率は、グンと上がります。
もちろん、私共の説明を基に、経済的な事情からどの方法を選択されるかを選ぶ権利は患者様ご自身に有り、私共は、その決定に従って、その条件下でできる事に全力で努める事は、言うまでも有りません。
私共の歯科医院にも、治療をされてもう四半世紀経過された患者様もおられます。その方が、今でも定期的な検診とクリーニングにお越しになり、私共が詰め物やかぶせ物をお入れした歯が、今なお、健全な状態である時の喜びを患者様と分かち合える事こそが、歯科医療従事者としての喜びでもあります!
あなたのステキな笑顔をいつまでも❣