こんにちは❣ 大阪市生野区の歯医者 有田歯科医院 院長の有田です。
「歯ぁ痛いんですわ❣何とかしとくんなはれ❣」と駆け込んで来られたAさん。早速、お口の中を拝見させて戴くと、右上の奥歯に大きなムシバ。歯は、半分以上かけており、中の神経にまで及びそうな深いムシ歯です。「仕事も抜けられへんし、あんまり歯医者には行きとうないしで、ほったらかしてましてん。そしたら、今朝から、急に右上奥の歯ぁが痛たなりよりましてなあ。何とかしとくんなはれ❣」とSOS。他にもムシ歯が有り、歯石もたくさん付いており、歯茎から出血もしています。反対側の左下奥歯をずっと以前に抜かれたままで、その両隣りの歯が、歯を抜いた事でできたスペースを埋める様に傾き、上下の噛み合わせの状態をも変えてしまっています。
「Aさん、先ずは、この右上奥歯の歯の痛みを解決しましょう。残念ながら、この歯の神経を処置しないといけません。その後、歯の根を守るための処置をして、最後にかぶせます。順調に治療が」進んだとして、この歯の処置だけで、4~5回の通院は必要だと思います。」と、前もって、見通しをお伝えしました。殆どの患者様は、その時点での説明に了解❓して下さいます(・・・と、信じています(笑))。
「Aさん、如何でしょう?今回、歯が痛んだ事で、たまらず当院にお越しになられました。お口の中を全体的に拝見させて戴いたのですが、左下奥歯は、ずいぶん以前に抜かれて、そのままになっていますね? しっかりと噛めていましたでしょうか?」⇒「ええー、そんなにかかるんでっかぁ。いやー、確かに左では噛めませんねんけどねぇ。何か食事してても、左は頼んのうて、ついつい右で噛んでましてん。ちょっと冷たいもんに凍みてたし、食べたもんも詰まった時は痛かったけど、さっきも言うた様に歯医者が苦手なもんで、ついつい先延ばしにしてましてん。そしたら、今朝起きたら、めっちゃ痛となってしもて・・・。左ではまともに噛めんもんやから、この右の歯ぁが頼りやってんけど、ホンマ、めしも食べれませんわ!これから歯ぁを大事にしまっさかいに、先生、なんとかしとくんなはれ❣」
1本の歯の痛みで、瞬時にして咀嚼不能に陥るケース。実は、大げさな話でも、稀な話でもないんです。人間は、少々の不便や不都合が有っても、その状態がしばらく続くと感覚が鈍くなり慣れてきます。Aさんの様に長らく左で噛めていなかったとしても、右で噛めていた事で、左で噛めない事にそれ程の不自由を《感じない》状態に陥ってしまっていたんじゃないでしょうか。
さあ、そこで突然の右側の痛みです❣ 飛行機で言えば、片翼のエンジンでどうにか飛行し続けていたのに、今朝起きたら、突然、もう片方のエンジンもトラブルに巻き込まれたのです!「こりゃあ、えらいこっちゃ❣❣❣」。半ばパニック状態ですよね。
全ての歯は、他の全ての歯と連動しながら噛み合わせの関係を維持しています。それは、上下左右の噛み合わせの力関係の均衡によって、保たれているんです。ラグビーのスクラムをご存じでしょうか?両チームのフォワードの選手達がボールを中心に置き、少しでも自軍の陣地を有利に確保するために押し合います。でも、互いのスクラムのパワーが、まっすぐに相手のスクラムに伝われば良いのですが、誰かが崩れるとスクラム全体のお互いのパワーが、今度はスクラム自体を壊す力となってのしかかります。
噛み合わせの力の均衡もこれに似ています。Aさんの様に、左下奥歯を長年失くしたままにしていたせいで、噛み合わせのバランスを狂わせていく可能性が有り、それは、左右バランス良く噛めない事や顎関節に異常をきたす原因にも成りかねません❣❣
Aさんの様に不幸にして抜歯に至った方も多いかと思います。でも、どうか、抜歯後そのまま放置しないで、すぐに適切な方法で噛み合わせを再構築し、バランスの良い噛み合わせを守って下さいね❣
『よう噛まんとあきまへん ❣❣❣』
あなたのステキな笑顔をいつまでも❣